幼児教育・保育の無償化は2018年12月に閣議決定され、2019年10月よりスタートしました。
テレビなどでは幼児教育無償化と表現されていることが多いですよね。
内容は結構複雑なのですが、ざっくり言うとこんな感じです。
それでは詳しい内容について見ていきましょう。
参考 幼児教育・保育の無償化: 子ども・子育て本部内閣府幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する場合
- 3~5歳までの全ての子供たちの利用料が無償化されます。
- 幼稚園については、月額上限2.57万円です。
- 無償化の期間は、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間です。
- 0~2歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償化されます。
- さらに子供が2人以上の世帯の負担軽減の観点から現行制度を継続し、保育所等を利用する最年長の子供を第1子とカウントして、0~2歳までの第2子は半額、第3子以降は無償となります。年収360万円未満相当世帯については、第1子の年齢は問いません。
- 幼稚園については、入園できる時期に合わせて、満3歳から無償化します。
- 通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者負担です。年収360万円未満相当世帯の子供たちと全ての世帯の第3子以降の子供たちについては、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます。
幼稚園の預かり保育を利用する場合
幼稚園の預かり保育の無償化の対象となるためには、お住いの市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
「保育の必要性の認定」の要件については、就労等の要件(認可保育所の利用と同等の要件)がありますので、お住いの市町村にご確認ください。
最大月額1.13万円までの範囲で預かり保育の利用料が無償化されます。
認可外保育施設などを利用する場合
認可外保育施設の無償化の対象となるためには、お住いの市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
「保育の必要性の認定」の要件については、就労等の要件(認可保育所の利用と同等の要件)がありますので、お住いの市町村にご確認ください。
3~5歳までの子供たちは月額3.7万円まで、0~2歳までの住民税非課税世帯の子供たちは月額4.2万円までの利用料が無償化されます。
認可外保育施設に加え、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業も対象となります。
うちの子の場合はどうなの?無償化対象になるかチェック!
0~2歳と3~5歳で大きく分かれるので、まずは年齢で判断しましょう。
0~2歳の場合
あなたの世帯が住民税非課税でない(住民税を払っている)なら、無償化の対象にはなりません。
住民税非課税なら無償化の対象になります。
お子さんが通うのが「保育所・認定こども園」なら利用料が無料になります。
お子さんが通うのが「認可外保育施設等」なら「保育の必要性の認定」を受けている場合、利用料が月額4.2万円まで無償になります。
3~5歳の場合
お子さんが通うのが「保育所・認定こども園」なら利用料が無料になります。
お子さんが通うのが「認可外保育施設等」なら「保育の必要性の認定」を受けている場合、利用料が月額3.7万円まで無償になります。
お子さんが通うのが「幼稚園」場合、子ども・子育て支援制度の対象になるかどうかで変わってます。
- 対象の幼稚園なら無料
- 対象でない幼稚園なら、月額2.57万円まで無償になります。
幼稚園の預かり保育は、「保育の必要性の認定」を受けている場合、幼稚園の利用料に加え、利用日数に応じて最大月額1.13万円まで無償になります。
幼児教育・保育の無償化の問題点
無償になるんだったらみんなハッピーになりそうですが、実は色々と問題が起きているようです。
例えば、保育士が足りないという問題があります。
いくら無償化になっても、保育士が足りないと保育園で受け入れできるお子さんの人数も少なくなってしまいます。
そうすると保育園に入りたいのに入れないという待機児童の問題が出てきます。
また、保育園に入る時に働いている家庭が優先される事が多いです。
シングルマザーで働きに出たいと思っていても、保育園に入れないというケースが増えてきます。
保育園に入れるために就職しようと思っても、今度は子どもが保育園に入っていないからといって就職の面接で落とされてしまうことも多いそうです。
すると幼稚園に通っているような比較的裕福な家庭は無償化されて、シングルマザーで苦しい家庭が無償化にならないといったことが起こります。
前よりも負担が増えてしまう家庭もある
一般社団法人ひとり親支援協会が実施したアンケートによると、負担額が増えたと答えた人が約2割にもなります。
今まで自治体独自に行っていた支援制度と今回の無償化とのミスマッチにより、自治体によって負担が増えることがあるからです。
例えば、大阪府の堺市では、上のきょうだいの年齢や保護者の年収に関係なく、認可保育園などに通う第3子以降の子どもと、第2子以降の4、5歳児の利用料(おかず代も含む)が無料でした。
しかし、今回の国の無償化では、無料になるのは利用料のみで、おかず代は保護者が支払うことになりました。
今までは「利用料とおかず代」が無料だったのに、今回の無償化により「利用料だけ無料」で「おかず代は保護者負担」になってしまう家庭もあるのです。
支援制度が手厚い自治体ほど、上のようなミスマッチが起きやすくなっています。
参考 幼保無償化なのに「12万円負担増」 制度の落とし穴朝日新聞デジタル